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公開日:
2019.06.04
更新日:
2021.02.05

DUO select|英単語教材としての内容・使い方・効果を徹底検証

『DUO select(デュオ・セレクト)』を、英語と英語の学習方法を教えている立場から徹底検証することがこのコラムの目的だ。

The English Clubはこの教材を長年使用してきた。その積み重ねてきた経験と知識をもとに、本書の内容、使い方、効果についてできる限り客観的に、そして徹底的に検証したい。皆さまの英語学習の手助けになれば幸いだ。

『DUO select』を含む人気の単語帳7種類・23冊を徹底検証したコラム「【英単語帳】社会人におすすめは?人気の23冊を徹底検証!」も参考にしてほしい。

1. DUO select|おすすめ度 by The English Club

「DUO3.0から厳選した単語を掲載した効率性重視の単語集。難しい例文があったり、高価格という欠点もあるが、中学基本語は習得したがDUO3.0は難しいと感じる方にはおすすめ。」

良い点

このコンパクトさで見出し語1624語、総掲載語数3349語というのは、他の単語集を圧倒している。別売りのCDには、見出し語1624語を約30分で総復習できる音源も付いている。他にない効率性を求めた単語集だ。

掲載語については、その選定基準の詳細が記載されており内容も信頼できそうだ。実際に掲載されている単語群を見ても、高校2年生くらいまでの重要語ばかりが並んでおり、派生語、同義語、反意語の記載も充実している。発音についても、発音記号やカタカナ発音ガイドもついており十分にフォローしてある。ただ、中学基本語は含まれていないので、不安な方は別途そこを強化してからの方がいい。

悪い点

注意点は難しい例文があることだ。本書の売りはコンパクトさだが、1つの例文に平均4つの見出し語を入れることでそれを実現している。その弊害として、このレベルの単語を学習する方にとっては難しい例文になっていることが気になる。特に、結構難しい文法が何の説明もなく出てくる。

一番の欠点は価格が高いこと。音源については、通常の単語集ではCDが付属しているか、もしくは無料でダウンロードできるが、本書は別売りになっている。しかも【2,800円+税】とお高い。単語集と合わせて購入すると【3,940+税】と総額4,000円を超えてしまう。

「DUO select CD」には、同じ例文の音源が、スピードと内容を変えて「練習用」と「基礎用」の2種類入っている。せめてそれらを別々に販売してほしいものだ。繰り返すが、高すぎる!

単語集

なお、DUO select の姉妹版である DUO 3.0 についても、コラムにその詳細を書いている。そちらについては「DUO 3.0|英単語教材としても内容・やり方・効果を徹底検証」を参考にして欲しい。

2. DUO select|本書の宣伝コピーと内容

「DUO select」と別売りの「DUO select CD」のそれぞれの宣伝コピー(売り文句)の重要な部分をそのままご紹介しよう。内容も合わせてご紹介する。

2.1. 「DUO select」の宣伝コピーと内容

DUO select

CD別売 鈴木陽一(著者)[アイシーピー]¥1,140+税

2.1.1. 「DUO select」の宣伝コピー

本書の達成レベル
TOEIC:550〜620点
大学入試:偏差値55〜58
英検:2級
TOEFL:(基礎学習用として)

ベスト&ロングセラー『DUO3.0』の中から、必ず覚えておくべき必須単語1000語と熟語600語を厳選し、『DUO3.0』とは全く違う377本の英文に重複なしで凝縮させました。

急きょTOEICを受験することになった社会人の皆さんや、一刻も早くセンター試験レベルの語彙力をつけたい高校生の皆さんをはじめ、最短で語彙力アップを狙うすべての方々に自信をもってお薦めいたします。本の薄さ・軽さに対する心配はご無用です。最小の労力で最大の効果を上げられる最高効率を目指した1冊ですから。

見出し英文 377本
見出し語 1624語
(単語 1050語)
(熟語 565語)
派生語・関連語 739語
(単語 565語)
(熟語 174語)
同意語・反意語 995語
(単語 633語)
(熟語 362語)
総掲載語 3349語
(単語 2248語)
(熟語 1101語)

『DUO select』の掲載語は、最新のコーパス(英語圏で発せられた英文のデータベース)の分析によって得た『昔の重要語ではない、今の重要語』です。掲載語の妥当性は、英語学習者向けの英英辞典の2大タイトル『Longman Dictionary of Contemporary English』と『Oxford Advanced Learner’s Dictionary』で使用されている基本定義語をほぼ同じであることからも証明できます。

この2つの学習辞典の最大の特徴は、掲載語のすべてを二千数百語という限られた『基本定義語』によって説明していることです。つまり、これだけの語彙があれば表現できないものはない訳です。この意味で、『両者の基本定義語 ≒ 英語学習者にとっての必須基本語』と言えるでしょう。ロングマンは2045語、オックスフォードは2835語ですが、その両者に共通して使われているのは1958語です。そこから、中学基本語と一部の文法用語(abbreviation(略語)、adverb(副詞))などを削除した1155語は、本書の見出し単語1049語とほぼ一致します。

推奨活用法
① 見出し英文を、それぞれの単語・熟語の意味をしっかり理解しながら和訳します。
② 副教材の練習用CDを利用して、日本語での意味が自然と浮かんでくるようになるまでリスニングを続けます。
③ 日本語での意味をイメージしながら英文の音読を繰り返します。

各セクションのすべての見出し例文に対して①〜③までのプロセスを終えたら、復習用CDを利用してセクションを通して復習しましょう。ナチュラルスピードでも理解できるかどうかを確認してみてください。全体は33のセクション(各セクションは10本程度の例文で構成)に分けてあります。セクション21までは、それぞれにテーマがありますので、セクション単位で学習を進めた方が効率的です。

セクションを2、3終了し、ある程度感覚をつかんだら、セクションごとの学習と並行して1日1回で構いませんから復習用CDを通し聞きしていきましょう。もちろんまだ勉強していない部分がほとんどですから、何を言っているのかサッパリわからないかもしれませんが、気にしないで続けてみてください。知らず知らずのうちに記憶に刷り込まれ、ある日、英語がクリアーに聞き取れていることに気付くでしょう。そしてその瞬間から、セクションごとの学習スピードが一気にアップします。

2.1.2. 「DUO select」の内容

  • 基本編(基本動詞・文法事項など)
    Section 1: 1-11 make
    Section 2: 12-22 take
    Section 3: 23-34 文法事項1
    Section 4: 35-454 基本動詞
    Section 5: 46-55 to不定詞とing形
    Section 6: 56-66 文法事項2
    Section 7: 67-76 文法事項3
    Section 8: 77-88 同意語・類義語1
    Section 9: 89-100 同意語・類義語2
    Section 10: 101-112 類義語・反意語1
    Section 11: 113-125 類義語・反意語2
    Section 12: 126-132 紛らわしい単語
  • 前置詞編
    Section 13: 133-144 to
    Section 14: 145-156 to & at
    Section 15: 157-168 at & for
    Section 16: 169-179 on & into
    Section 17: 180-194 in
    Section 18: 195-206 in
    Section 19: 207-216 with & about
    Section 20: 217-226 up, out, & from
    Section 21: 227-234 under & out of
  • その他
    Section 22: 235-246
    Section 23: 247-258
    Section 24: 259-270
    Section 25: 271-282
    Section 26: 283-294
    Section 27: 295-306
    Section 28: 307-318
    Section 29: 319-330
    Section 30: 331-342
    Section 31: 343-354
    Section 32: 355-366
    Section 33: 367-377

2.2. 「DUO select CD」の宣伝コピーと内容

DUO select CD

音声副教材 鈴木陽一(著者)[アイシーピー]¥2,800+税

2.2.1. 「DUO select CD」の宣伝コピー

語学の習得は、文字を読んで覚えるよりも、聴いて覚える方がはるかに簡単。テキスト『「DUO select(別売)』を学習していくなかで、このCDを何度も繰り返し聴いて、一つ一つの単語や熟語の実際の音をしっかりマスターしていってください。

2.2.2. 「DUO select CD」の内容

構成内容:練習用CD 3枚 + 復習用CD 1枚 + 見出し例文・和訳一覧小冊子

練習用CD(Disc 1: 63分00秒、Disc 2: 61分50秒、Disc 3: 63分53秒)
各見出し例文のブロックは、和訳→例文(スロースピード)→各見出し語(スロースピード)の順に流れます。日本語でのイメージができてから英語部分を聴いていくので、英語の意味が捉えやすくなります。また、各ブロックの最後に再度見出し例文がナチュラルスピードで読まれますので、前半で聴き取れなかった箇所があってもここでフォローできます。

復習用CD(Disc 4: 36分32秒)
見出し例文だけと、ナチュラルスピードでセクションごとに読み上げます。必須レベルの重要単語1000語+熟語600語が、およそ36分でそう復習できる効率的なCDです。

3. DUO select|学習効果分析 by The English Club

DUO selectの内容、使い方、効果について検証してみよう。

3.1. 「DUO select」の学習効果分析

DUO select

The English Clubでは、ビジネスパーソンでTOEIC400〜500点レベル、かつDUO3.0が難しいと感じる方には、この単語集を使用する場合が多い。受講者の皆さまのレビューもよく、数多くの方が結果を出していることも事実だ。この単語集でTOEIC700以上を獲得した方もいる(本書の他に文法と自動化トレーニング用の2冊の教材を使用)。

この「DUO select」は、掲載されている単語の選定が適切に行われていると仮定すれば、中学で学習する基本語を除く、高校2年くらいまでに学習する単語が掲載されていると考えていい。

また、本書に記載されている宣伝コピーによると、2大英英辞典の基本定義語約2000語から中学基本語などを削除した1155語と、本書の見出し語1050語はほぼ一致するとある。それが本当だとすると、中学基本語を習得した人が本書をマスターした場合、あらゆる英語の約80%は理解できることになるだろう。英語は最重要語2000語で約80%をカバーできるという研究結果が数多く出ているからだ。

ただ気になることがある。二大英英辞典の基本語とほぼ一致しているという文言は、DUO3.0にも記載されているのだ。DUO selectはDUO3.0から抜粋したものを掲載しているので、どちらかが虚偽記載になる。

使い方

一方で、本書に記載されている「推奨活用法」には注意が必要だ。「見出し英文を、それぞれの単語・熟語の意味をしっかり理解しながら和訳します。」とあるが、この「しっかりと和訳」するというところは気をつけたほうがいい。自然な日本語に訳すために、後ろから「戻り訳す」ことをやっていると、いつまでたっても英語の語順になれることができない。英語の語順のまま、前から理解できればそれでいい。

また、全く科学的根拠が乏しい下記のような記述には注意が必要だ。「復習用CDを通し聞きしていきましょう。もちろんまだ勉強していない部分がほとんどですから、何を言っているのかサッパリわからないかもしれませんが、気にしないで続けてみてください。知らず知らずのうちに記憶に刷り込まれある日、英語がクリアーに聞き取れていることに気付くでしょう。そしてその瞬間から、セクションごとの学習スピードが一気にアップします。」

3.2. 「DUO select CD」の学習効果分析

DUO select CD

「DUO select CD」は、不必要なものが多く録音されている。価格を高く設定するためだと思われる。まず、練習用CDには下記の順番で収録されているが、例文の日本語訳と例文遅めの音源は必要ない。それらを省略すれば復習用CDなど必要なくなるはずだ。CDの枚数も減り価格も抑えることができる。

練習用CD: 例文の日本語訳 → 例文(遅め) → 見出し語 → 例文(ナチュラルスピード)
復習用CD:例文(ナチュラルスピード)

不必要なものを収録しているが、あった方がいいものが収録されていない。見出し語の日本語訳だ。見出し語の後にその日本語訳を録音しておけば、本書を見なくても聞くだけで単語の意味を覚えられる。歩きながらでも覚えられる。例文の日本語訳を聞いても、単語の意味をすぐに理解することはできない。効率性からも今ひとつの出来だ。

一方で、ナレーションはよい。「ナチュラルスピード」の音源をできるだけそっくりまねて繰り返し音読や暗唱すれば、英語の発音も同時に習得することもできるし、リスニング力向上にもつながるだろう。ナレーターが感情を込めて読んでいるので、英語独特の音声変化、強弱やイントネーションも自然に近い。確かにほぼナチュラルスピードと言っていい。

4. DUO select|おすすめ使い方 by The English Club

本書と別売りの練習用CD、復習用CDを最大限に活用した学習方法をご紹介する。The English Clubで行なっている使い方である。

DUO select トレーニング

上記の図のように、5つのステップからなるトレーニングだ。是非、順番に繰り返し行なってほしい。なお、スペルが覚えられない方は、上記のトレーニングの他に例文の「書き写し」も試してほしい。順番にやり方を説明する。

4.1. アイ・シャドーイング(Eye-shadowing)

トレーニング・ステップ-01

本書を目で追いながら、練習用CDを聴く。意味と発音を意識することが重要だ。発音については、見出し語は、母音と子音、アクセントの位置に気をつけて聴くこと。例文は、それらに加えて、音声変化(連結・脱落・同化)、強弱(リズム)、イントネーションに気をつけて聴くこと。

なお、発音についての詳細は下記のコラムを参考にして欲しい。

母音と子音:「英語の発音記号|日本人が苦手な母音と子音を14のコツで矯正しよう
アクセント:「英語のアクセント|英単語のアクセントは基礎と応用8のルールで完璧
音声変化:「英語のリエゾン:ジョブズから学ぼう!単純ルールと簡単発音練習法
強弱:「英語のリズム|意外に重要!4つの法則と効果的な練習で使える英語に
イントネーション:「英語のイントネーション|基礎と応用15のルールとおすすめ学習法!

4.2. 音読(Reading aloud)

トレーニング・ステップ-02

例文と見出し語、見出し語の日本語訳(第一義)を大きな声を出して読もう。意味と発音を意識すること。例文は、音読しながら意味(内容)が入ってくるようになるまで繰り返そう。文の構造が理解できない場合は、文法書などで調べてなるべく完璧に理解しておこう。

なお、音読のやり方と効果の詳細については、「英語の音読|正しいやり方で4技能に効果あり!7つのコツと教材選び」が参考になるはずだ。

4.3. オーバーラッピング(Overlapping)

トレーニング・ステップ-03

練習用CDを聴きながら、音声とぴったり合わせて音読しよう。スピードについていけるようになるまで何度も繰り返すこと。スピードに慣れてきたら、意味と発音を意識しながらまた繰り返そう。

声を出せない場所であれば、リップ・シンク(Lip sync)でもいい。オーバーラッピングの声を出さないバージョンだ。発音を確認するときにもこのリップ・シンクをやってみるといい。

4.4. (練習用CD) シャドーイング(Shadowing)

トレーニング・ステップ-04

仕上げのシャドーイングだ。本書を見ないで、練習用CDを聴きながら、音声の1〜2語後をまねて発音しながら、影(shadow)のように追っかけていく。例文(遅め)、見出し語、例文(ナチュラル・スピード)をシャドーイングしよう。

うまくできない場合は、一旦音読やオーバーラッピング(リップ・シンク)に戻ってから再度挑戦してみよう。必ず、意味と発音を意識しながら行うこと。

なお、シャドーイングのやり方と効果の詳細については、「英語のシャドーイング|4種類のやり方と効果&6のコツを徹底解説!」も参考にしてほしい。

4.5. (復習用CD) シャドーイング(Shadowing)

トレーニング・ステップ-05

練習用CDでのシャドーイングが慣れてきたら、せっかくなので復習用CDでもシャドーイングをやってみよう。シャドーイングしながら、頭に意味がスーッと入ってこない場合は、音読しながら意味が入ってくるまで繰り返してみること。

4.6. 〈おまけ〉書き写し(Transcribing)

トレーニング・ステップ-おまけ

どうしても覚えられない場合や、スペルが覚えられない場合は例文の書き写しを試してみよう。例文を、意味を意識しながら黙読し、目を離して「一文」を書き写す。途中で英文をチラチラと見ないこと。書き写した後は、スペルが間違っていないか、前置詞などが抜けていないか確認すること。

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執筆者プロフィール
小柳 恒一
  • 1999年ロンドン大学大学院ロンドン・ビジネス・スクールにてMBA取得。1997年TOEFL630点取得。2003年TOEIC990点取得。2004年米国公認会計士試験合格。2010年4月中小企業診断士登録。
  • 2000年よりリーマン・ブラザーズ等にて13年以上M&Aのアドバイザリー業務に携わる。
  • 2010年より中堅・中小企業を対象とした事業継承M&Aコンサルティング事業を開始。
  • 2013年よりThe English Clubの前身となるEnglish Tutors Network事業を開始。
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